ニッポン無責任時代(1962年)
エレキの若大将(1965年)
こんな強力な三本立てを観に行ったことがある。
確か東宝映画50周年記念の三本立てだったと記憶している。
東京では古い邦画を上映している映画館はたくさんあるのだろうが、北海道ではそういった名画座はほとんどない。ゴジラは大好きだったし、高度経済成長期の空気に憧れていた少年だったので、期待しながら観に行ったのだ。
もう今から30年前のことである。
さて、映画は面白かったか?
それはもう、最高に面白かった。
当時の印象としてはこんな感じであった......
ゴジラ
オリジナルゴジラ、最初のゴジラである。
東宝盗撮の怪獣映画は、ライブアクションと特撮の連携、そして細かい演出が素晴らしいという。
まさにその真骨頂がここにあった。
その怪獣はどれほど巨大で恐ろしい生き物なのか、徐々にその姿が明らかになる展開は、当時の観客を大いにドキドキさせたはずだ。
砂浜についた足跡がものすごくリアルに感じたこと、必殺シリーズがまだ人気だったので、若き日の菅井きん登場シーンで観客が湧いたことなんかも覚えている。
80年代においても、初代ゴジラは相当古い映像であったが、十分に楽しめる怪獣映画だったと思う。1作目のキングコングと同じなんじゃないだろうか。
余談であるが、ゴジラを倒した「オキシジェンデストロイヤー」は、なんと特撮博物館で展示されていて、実物の姿を見ることができた。
これがゴジラを倒したオキシジェンデストロイヤーかぁ....ほぼ60年前の映画の小道具が、きちんと保存されていたことにも驚きであった。
ニッポン無責任時代
高校時代にラジオでクレージーキャッツの曲を聴いた時の衝撃は忘れられない。
こんなすごい音楽があったのか!
ベスト版のカセットテープを買って、そればかり聴いていた頃があったほどだ。
そんなクレージーキャッツの代表作ともいえるこの映画、当たり前だがクレージーの面々が若い。
そして、なんというお気楽さ、なんという無責任、なんというC調!
植木等という天性の演技者を得て、「無責任」や「スーダラ」というスタイルは、昭和のサラリーマンの一つのスタンダードになったのではなかろうか。
「さぁ~歌うか~」といっていきなり歌いだす植木等のあの軽さ、「渋み」ではなく「軽み」とでもいえば良いのか、洗練された軽さがたまらない。
エレキの若大将
意外に面白かったのがこの映画。
クレージーキャッツは80年代に再評価の動きがあったのだが、若大将シリーズはそういった回帰もなく、僕にとっては完全に懐メロの扱いであった。
だが意外にも、意外にも、意外にも、エレキの若大将はものすごく面白かったのである。
まず驚くのはその内容だ。
もう、映画一本まるまる加山雄三のPV状態である。
「二枚目で人望がありスポーツ万能、エレキも弾ける、歌ったらこれまた上手」という全方向にわたっての出来っぷりは、まさに若大将としか呼びようがない。
かなり現実味の薄いキャラクター設定だが、このシリーズは毎年のように作られていたわけで、制作当時の加山雄三人気は凄いものがあったのだろう。
実際、当時の加山雄三はカッコいいし、音もなかなかイカしてる。(今聴いた方がよりイカしてる感じだ)
急きょバンドを作ることになった若大将が、蕎麦屋の寺内タケシをメンバーにするあたりの描写もいい。上手いんだ寺内タケシが。
そして勝ち抜きエレキ合戦の司会者が内田裕也なんだけど、「マイネームイズ ショーンコネリー!とかなんとか言っちゃったりして(笑)」という、つかみになってないつかみもすごく60年代っぽい。
最期にヘリコプターでアメラグの試合にかけつけて、そのままタッチダウンを決めちゃったりするのがまたサイコーである。
恋に笑いにエレキにスポーツ、そして家族の絆。
とてもバランスが良くって、王道の楽しさを味わえる娯楽映画だった。
そして、映画のエンディングは早くも次回作の予告「アルプスの若大将」で幕を閉じるのだった。
青春時代、リアルな体験としてこれらの映画を観たかったなぁと、今でも思っているのである。